本文へ移動

1.遠隔(オンライン)診療の実証実験(安芸太田町)

皆さんは,遠隔(オンライン)診療について,ご存じですか。
コロナ禍では,非接触のメリットで話題になったことから,
聞いたことはあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は,中山間地域での課題を解決するための遠隔(オンライン)診療ということで,
安芸太田町で行われた実証実験をご紹介します。
安芸太田町は,広島県の北西部に位置し,町面積の約90%を森林が占める自然豊かな町です。
県内では最も人口が少ない自治体ですが,現在,積極的にデジタル技術を活用しています。

例えば,医療分野について「病院への入院や介護施設への入所が必要なほどではないが,
通院には支障がある」という高齢者が増加すると予想されており,医師の数が限られる中で,
訪問診療や巡回診療を増やすことが困難であるという課題があります。

こうした課題に対応するため,遠隔地へ看護師・医療事務員を派遣し、
近隣の患者さんに来て頂くDtoPwithN (ディートゥーピーウィズエヌ/Doctor to Patients with Nurse)
という方法での遠隔(オンライン)診療の実証実験を行いました。
この方法は,現場に看護師などが同席するため,デジタル技術が苦手な方でも,
気にすることなく受診することができるというメリットがあります。

出典:国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス(https://mapps.gsi.go.jp/)
航空写真を加工して作成
実証実験は,町の中核的な病院である安芸太田病院と,道のりで22km離れた集会所「修道活性化センター」とを結んで行われました。

実証実験では上の写真にある医療機器を使用しました。
医師がいる安芸太田病院側の様子を紹介します。
医師が電子カルテの端末で患者の病状を確認しながら、遠隔地の患者を問診している様子です。
遠隔地の患者の心電図波形や脈拍を、テレビ会議システムを通してモニターで確認している様子です。
患者がいる修道活性化センター側の様子を紹介します。
病院側とテレビ会議システムを通して病院にいる医師からの問診を受けている様子です。
小型心電図モニター(チェックミー)を利用して、看護師が患者の心電図などのデータをリアルタイムに転送している様子です。
医師の指示のもと、診察後に採血を受けている様子です。
この実証実験により,概ね問題なく遠隔診療ができることが分かりました。
【主な検証結果】
  1. 画質に問題なし。健康保険証や医師資格証は文字、写真などの視認も問題なし。高齢者にとっても医師の顔が見やすく声も聞き取りやすい。思ったより違和感なく受診できた。
  2. 次回予約票,診療明細の発行を病院側のパソコンから印刷指示して、直接遠隔地のプリンターからプリントアウトができた。
  3. 病院と薬局との処方箋のやり取りなどは問題ないことが確認できた。
 
とはいえ,実用化にはまだまだ課題があることも明らかになりました。
【安芸太田病院側】
  1. デジタル聴診器(ネクステート)の利用において、心臓音の診察には問題ないが、雑音が入るなど音質の精度が欠けるため、呼吸音を診察することができない。
 
【遠隔地(修道活性化センター)側】
  1. 遠隔地への機器持込をどうするか。
  2. 処方される薬が当日受け取れるとは限らない。
 
今後も安芸太田町では遠隔診療の実用化に向けて,取り組まれるとのことです。
 
 
 
問い合わせ窓口
安芸太田町 企画課




2.認知症高齢者が徘徊した際の早期発見・保護(海田町)

皆さんは,認知症の高齢者の社会問題について,考えたことはあるでしょうか。
認知症は誰にでも起こりうる脳の病気で、記憶障害や判断力の低下等の症状があります。認知症によって引き起こされる行動の一つとして、場所や時間の見当がつかなくなり自宅に戻れなくなる徘徊があります。
認知症高齢者が徘徊すると行方不明になったり,交通事故に遭うリスクがあります。また保護者の方も認知症高齢者を捜索することで身体的,心理的に負担がかかります。リスク軽減のためには早期発見が重要となりますが,その点が課題となっています。
 
今回は,認知症高齢者が徘徊した際の早期発見,保護を目的として,認知症高齢者等保護情報共有サービスを活用した事例をご紹介します。認知症高齢者等保護情報共有サービスはすでに広島県のいくつかの市町でも導入されておりますが,令和3年7月から海田町でも導入しましたので,一例として海田町の事例を紹介します。
 
先述の課題に対応するため,認知症高齢者等保護情報共有サービス「どこシル伝言板」を活用しました。このサービスは,徘徊する恐れのある認知症高齢者の服・帽子・カバン・杖等に事前にQRコードの付いたシールまたはラベルを貼り付けておき,行方不明になった際に,発見者がQRコードを読み取ることによって,認知症高齢者の保護者へ発見情報を伝えるサービスです。このサービスには以下の特徴や効果があります。
 
  • QRコードを読み取ると直ぐに認知症高齢者の保護者に情報が伝達できる。
  • 事前に登録した「保護時に注意すべきこと」を発見者に伝えることができる。
  • 24時間365日利用可能である。
  • 導入している市町が連携することで,認知症高齢者が町域を越えて徘徊した場合でも発見しやすい。
 
ここからはサービスの詳細について説明します。住民の方がサービスを利用するにあたって,事前に準備することは次の2点です。
 
①事前受付・初期登録
認知症高齢者のニックネーム,生年月,性別,身体的特徴,既往症,保護時に注意すべきこと,発見通知メールアドレスを登録します。
 
②ラベルまたはシールの貼り付け
認知症高齢者にQRコード付きのシールまたはラベルを貼り付けておきます。QRコード付きのシールまたはラベルは海田町が無料で配布しているため,住民の方が費用負担することはありません。

QRコード付きのシールのイメージです。
QRコード付きのシールを貼り付けた写真です。
 認知症高齢者が徘徊して見つかった際は,発見者がスマートフォン等でQRコードを読み取った後,発見場所等を入力します。すると保護者へ通知されます。発見者と保護者は専用伝言板を通じてやりとりすることが可能です。
 ※氏名(実名)や電話番号などの個人情報は伝言板に入力しません。

発見者と保護者がやり取りする画面のイメージです。
この仕組みは令和3年7月に導入したばかりですが,今後認知症高齢者が徘徊した場合に,地域の支援を得て早期に発見し,認知症高齢者の安全確保と保護者の身体的,心理的負担を軽減できることを期待しております。
 
 
問い合わせ窓口
海田町 長寿保険課
TOPへ戻る