本文へ移動
インタビュー
大信産業株式会社/営業本部 営業企画部
菅 穂高さん(かん ほだか)さん

自動化・省力化極めた農機を販売 農家サポート
―事業内容や経営理念を教えてください。
 “大きな信用”を大切に。
 大信産業は創立以来、社名の示すとおり「大きな信用」を経営理念としています。広島県内はもとより、島根県、愛媛県など多くの営業所をネットワーク化して、地域に密着した活動を行っています。「農業」「緑化」を事業の大きな柱として、最新の技術に基づいたコンサルティングカンパニーを目指し、「技術」を中心とした事業展開を行い、卸売業の枠を超えた提案型営業活動に励んでいます。
 農業関連事業では、進歩する農業技術に対応し、より高品質で安心・安全な農産物を生産するためのサポートを行い、緑化関連事業では、「緑あるところに大信あり」と言われるよう、あらゆる場面でさまざまな緑化のご提案をしています。
―農業関連分野においてもデジタル技術の目覚ましい進歩により、DXを活用したさまざまな商品が開発されています。扱われる商品の一つ、自律走行無人草刈機「KRONOS」はどのような商品か、特徴や良さを教えていただけますか。
 和同産業株式会社さまが開発された自律走行無人草刈機「KRONOS」は、専用アプリ「ロボモア」の操作により、天候や場所、時間を問わず草刈りを行います。バッテリー残量が少なくなったら、自動的に充電ステーションに帰還して充電、再び草刈りへと、全て自動で行います。
 「KRONOS」は、近年「草刈りが負担」「草刈りをする人手がない」という声が多く、関心のある人から問い合わせをいただいていました。そこで当社の担当が現地へ本体を持参して、デモンストレーションを行い、実際に能力を見て導入を検討してもらっています。事前によく調べておられる人も多く、関心の高さを感じます。
 セキュリティー部分も優れていて、本体を持ち上げると、センサーが感知し作業を停止します。防犯性に配慮し、アプリにPINコード(個人識別番号)を入力しないと稼働しないように設定されているので、安心して使用できます。
 また、走行と草刈り部の動力には、メンテナンスフリーのブラシレスモーターを搭載しています。エンジンを使用しないため、二酸化炭素排出ゼロで、環境に優しい草刈りにつながります。
自律走行無人草刈機「KRONOS」
自律走行がなぜ可能なのか、技術的な仕組みや操作方法を教えてください。制御など安全性についても教えてください。
 「KRONOS」は、①エリアセンサー、②超音波センサー、③充電ステーションとのサブギガ通信の各デジタル機能により自律走行を実現しています。①エリアセンサーは草刈りエリア周囲のエリアワイヤーの磁力を検知し、②超音波センサーは前方の障害物を検知します。エリアワイヤー付近へ近づくと本体のエリアセンサーがワイヤーの磁力を検知し、エリア内へ旋回します。超音波センサーは前方の障害物を検知すると本体が減速し、障害物への衝突を和らげます。また、減速後、左右ランダムに旋回し、走行を継続します。③本体と充電ステーションのサブギガ通信は、お互いが通信することで本体がエリア内で走行しているのかチェックし、本体が充電ステーションへ自動帰還する時の指針となる役目を持っています。(サブギガ通信は、長距離通信が可能、低消費電力という利点があります。大容量のデータ通信には向きませんが、KRONOSのようなお互いの位置を確認する少量データの通信には十分であることから採用しています。登録免許が不要のため、通信料金の負担を無くせることも利点です。)
 本体を操作するには、スマートフォンかタブレットが必要になります。ダウンロードした専用アプリから「草刈り開始」のボタンをクリックするだけで、自動で作業を開始します。専用アプリは、BLE(Bluetooth Low Energy)を使用して、本体と短距離で接続し、本体の制御を行います。アプリでは、1日の稼働時間と、その時間内の稼働回数も設定できます。本体から離れた場所にいても、稼働履歴の確認が可能なほか、アプリを使って、自在にリモコン操作もできます。
 また、3輪全てが独立モーターにより駆動すること、さらに走破性に優れた大径ホイールに駆動力と制動力が高まる深い溝が入ったラグタイヤを装着しているため、刈り取る地面に凹凸や勾配があっても安定して走行できます。
どういった方が、どんな目的で活用されていますか。また、御社はいつから商品を扱い、どれくらい販売されたか実績を教えてください。
 2023年春から、取り扱いを開始しました。果樹園を営む農家さんが、園地内の草刈り作業に活用されています。現在、広島県内では数台のみの販売ですが、問い合わせも増えており、少しずつ認知度を上げているところです。
 導入された方からは「草刈り作業の労力(人手、時間)を減らすことができ、減らした労力を作物の管理、収穫作業に充てることができた」との声がありました。また、昼間は草刈り作業を、夜間は「夜警モード」にし、点灯してエリアワイヤに沿って定期的に走行させることで、イノシシやシカ除けに利用したというケースもありました。
「農家はもちろん、住宅街の個人宅からも問い合わせがあります」と話す菅さん
農業用無人車「R150 2020版」についてもどのような商品か、特徴や良さを教えていただけますか。また、スマート散布やスマート搬送など拡張性も高いようです。
 XAG社さまが開発された「R150 2020版」は、世界初の量産型農業用無人車です。複数の作業モードと拡張機能を備えており、農業、林業、伝染病の予防など、さまざまな分野に正確で効率的なソリューションを提供します。作業の指令は、スマートフォンと専用リモコンの2つを使って行います。本体は四輪駆動で、高性能モーターを搭載し、複雑な地形でも強力なオフロードパフォーマンスを発揮し、目的地まで問題なく荷物を搬送してくれます。(注:傾斜15°まで走行可能)

農業用無人車「R150 2020版」
正確な走行がなぜ可能なのか、技術的な仕組みや操作方法、AI制御などについて教えてください。
 走行している位置をセンチメートル単位で高精度測位し走行を制御する「SUPERX3 Pro RTK制御システム」を搭載しています。この位置情報により、設定した走行ルート上を自律走行できます。
 また、自動散布を可能にする「Jet Sprayer高速気流スプレーシステム」を搭載しています。安全自動散布が可能で、高速気流により薬液を機械的に微粒化し、均一かつ定量的に散布します。さらに、荷台アタッチメントを取り付ければ、約150kgまでの作物や資材を運搬できます。

どういった方が、どんな目的で活用されていますか。また、御社はいつから商品を扱い、どれくらい販売されたか実績を教えてください。
 2021年6月より取り扱いを開始しています。大信ホールディングス株式会社にて数台販売実績があり、落葉果樹(ぶどう、なし、りんご)、かんきつ、野菜の栽培農家さんが農薬散布に使用しています。現在、広島県、愛媛県でデモンストレーション散布の機会を増やし、販売につながるよう努めているところです。
 導入した方からは、Jet Sprayerシステムにより、散布角度、噴霧液滴サイズ、送風量、流量(1分間当たりの吐出量)を設定できるため、「ピンポイントに適量を散布でき、消費量を抑えることができた」との声がありました。「リモコン操作により離れた場所から散布操作を行えるため、農薬の被ばくのリスクが減った」と言っていただくのは、私たちにとっても大きな喜びです。「液剤タンク容量が100リットルのため、タンク容量の大きいモデルを」と要望も寄せられています。
リモコンで直接、またはリモコンを介してスマートフォンで操作できる。
ほかにもDX技術を活用した商品があれば教えてください。
 衛星データを活用し、生育状況・土壌解析データを用いて農地の状態や耕作放棄地を見える化する「ACTABA(アクタバ)」(サグリ株式会社さま)を扱っています。特に膨大な時間と労力がかかる農地パトロールにおいては、衛星データとタブレットで現状を把握することで、検査工数が9割削減できました。手作業で入力していた記録も、データをまとめて出力し台帳システムへ登録が可能です。
 「プランテクト」(バイエルクロップサイエンス株式会社さま)は、3つのセンサーと通信機で、温度や湿度などハウス内の環境をハウスから離れた場所から確認でき、さらにAIによる病害予測機能も搭載する環境モニタリングサービスです。蓄積されたデータや病害予測機能の活用により、収量の増加・安定化や品質向上をサポートします。農薬の散布回数やコストの削減も期待できます。
※本サイトで紹介している関連記事/「尾道市農業委員会事務局」の農地管理デジタル化の取り組み (https://hiroshima-dx.jp/pages/217/)
DXの取り組みによる社会貢献など、県民に対してPRなどメッセージをお願いします。
 当社は、専門メーカーと連携して、農業を総合的にコンサルティングすることを目指しています。今回紹介した自律走行無人草刈機「KRONOS」は、農業以外にも有効利用が可能です。例えば「空き地を所有しているが草が生い茂って困る」という人からもお問合せをいただいております。お困りのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 今後もDXの先端技術を活用し、省力的かつ高品質な農業、スマート農業を、県民の皆様に提案してまいります。
TOPへ戻る