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インタビュー
大平交通株式会社/代表取締役
宍戸 孝行(ししど たかゆき)さん
AI乗合配車システム導入 空港への往来が便利に
―クラウド型AI乗合配車システム「Noruuu」を活用した尾道広島空港線「でべライナー」の運行が、2023年7月に開始されました。どういったサービスか教えてください。
 「でべライナー」は、飛行機の便に合わせて広島空港と尾道市内を直通で結ぶ、乗り合いの空港送迎サービスです。「でべら」とは、「でびら」とも言い、尾道の特産品として知られる魚のことです。
 2019年8月1日、広島空港と尾道市中心部を定時定路線で結ぶ乗合ジャンボタクシー「でべライナー」の運行を開始しました。「尾道の足になりたい」「尾道の公共交通を守りたい」との思いを実現させました。行楽シーズンを中心に業績は好調だったのですが、新型コロナウイルスの影響で利用者が減少し、20年4月から運休を余儀なくされました。
 コロナが落ち着いてくると「直通便があったほうがいいよね」「尾道は観光地なのに空港からの直通便がないなんて」という声をいただくようになり、23年7月、クラウド型AI乗合配車システム「Noruuu」を活用し、運行を再開しました。現在、空港行きの4便と、空港発の4便、1日計8便を年中無休で運行しています。乗車3時間前までの完全予約制で、予約方法はウェブサイトのみです。市内広域に乗降ポイントを設けた「ドアtoドア」に近い区域運行が特徴で、乗降ポイントは尾道市街・向島の約80カ所から選択できます。
乗合ジャンボタクシー「でべライナー」
―「Noruuu」を活用した「でべライナー」を運行するようになった背景や狙いを教えてください。
 コロナ禍の行動制限が緩和されつつある23年2月、AIによる配車計画の自動作成サービス「Noruuu」をシステム開発している株式会社REAの坂田社長にお会いしました。そこで、でべライナー再開にあたり課題であった「定時定路運行なので利用者ゼロでも運行しないといけない」「配車室での予約受付が煩雑で、タクシーの予約・配車など本来の業務に支障をきたす」「乗降場所が限られる」という問題について相談。「Noruuu」を活用するとそれらの課題が全てクリアできると分かり、導入を決めました。
―「Noruuu」とはどのような技術・仕組みでしょうか。
 AI乗合配車システム「Noruuu」は、利用者の予約情報に応じて、AIがリアルタイムで自動的に最適なルートを判断して配車を行うシステムです。乗車予約は、パソコンやタブレット、スマートフォンなどから専用ウェブサイトにアクセスして行います。予約がない限り運行しないので、「利用者ゼロでも運行」という無駄がなくなり、二酸化炭素の削減にも寄与できます。
 運行時間は、広島空港行きは、空港に8時30分着、11時10分着、14時50分着、18時40分着の4便、空港からは9時30分発、11時30分発、15時10分発、20時発の4便。 
 予約する場合は、まずは専用ウェブサイトにアクセスします。必須項目の「名前」「メールアドレス」を入力すると、「尾道方面中心部行き」「広島空港行き」を選ぶページに移動します。どちらかを選ぶと、「予約日」と、予約が可能な「運行便」を選ぶ画面に移動します。希望の日付と便を指定すると予約が完了し、登録したメールアドレスに予約完了メールが届きます。乗車3時間前にも、乗車時間の確認メールが届きます。「会員登録」をすれば次回予約時の入力が簡単になりますが、会員登録しなくても利用が可能で、電話番号とメールアドレスがあれば誰でも予約ができます。予約情報はNoruuuに集約されるので、従来、電話口で予約を受けていたときのヒューマンエラーがなく、確実に予約・利用していただけます。
 AIは渋滞情報を集約し、混んでいる道を避け、最適な運行ルートを探します。高速道路を使わなくても予定時刻に到着できるよう導いてくれるので、燃料費や高速料金の節約につながっています。
ウェブサイト(https://debeliner.demands.noruuu.jp )へアクセス。写真は「でべライナー」の予約画面
利用者にとってのメリットはどのような点が挙げられますか。
 当初のでべライナーの乗降場所は、国道184号沿線を中心に8カ所あるバス停のみでしたが、再開後の乗降ポイントは、尾道市街と向島に約80カ所設定しています。駅や尾道中心市街のほか、高須町や東尾道などの東部エリア、尾道鉄工センターや尾道工業団地、尾道流通団地など、事業所が集積するエリアもカバーし、住民の移動がさらに便利になりました。
「でべライナー」の乗降場所はスマートフォンやタブレットの地図上でも確認できる
利用状況はいかがでしょうか。また、利用者やスタッフたちの反応はどうでしょうか。
 でべライナーを再開して間もないので、利用者数は当初の頃のようにはまだ回復していません。ただ、7、8、9月と順調に右肩上がりに増加していますので、今後は再開したことをPRして、でべライナーの認知度をさらに高めていきたいです。利用料金は燃料費の高騰などを背景に、2019年スタート時の「片道大人2000円、子ども1000円」から、「小学生以上4000円」にアップしました。その部分は、サービスの向上などで還元できたらと思っております。利用者へのアンケートを通して、「お迎え時間が飛行機にあっているので、とても助かりました」という喜びの声がある一方、外国人の方から「海外の電話番号では予約できないのが不便」などのご意見をいただいており、今後の改善を考えているところです。
 予約などの電話対応の手間がなくなったことで配車室のスタッフは、本来の業務に注力できるようになりました。「Noruuu」はタブレットにアプリを搭載して操作するので、ジャンボタクシーにも簡単に導入できます。ドライバーはこれまで一般のタクシーでもタブレットを操作していましたから、抵抗なく受け入れることができました。
運用にあたり、課題や改善点があれば教えてください。また県民に対して、PRなどメッセージをお願いします。
 まだまだ認知度が低い点が課題です。さまざまな広告媒体を使って情報発信をし、認知度を高めていきたいと思っています。また、今の予約サイトは日本語のみの対応となっていますが、今後、多言語対応をしていく予定です。さらに、現在の4往復から便数を増やして、移動の利便性をもっと上げていきたいです。運賃の支払い方法は、現金に加え、今秋からは各種二次元コード決済、交通系・流通系ICカード決済、事前クレジットカード決済にも対応してまいります。
 新たに生まれ変わった「でべライナー」で、尾道市内と広島空港のアクセス改善、尾道市民および県外からの来訪者の利便性を向上させ、広島空港の利用活性化と尾道市の地域活性化に貢献していきたいです。
でべライナーのロゴマーク
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