花田 当社は、中国電力グループの主要設備の塗装工事に60年以上携わっており、特に送電鉄塔塗装や大型送電鉄塔塗装には多数の実績があります。送電線を支える「鉄塔」は、鋼材に亜鉛メッキがコーティングされており、新設から約20年で再塗装が必要となります。当社が担当させていただく鉄塔のうち、約7割が山間部に、残りの約3割が市街地に位置します。再塗装が決まれば、鉄塔のある場所まで、塗料を運搬しないといけません。足元の悪い山道を、作業員は、約15~20キロもある一斗缶を担いで運びます。ときには一日2往復しないといけないこともあり、無理をして転んで足をけがしたり、年を重ねるにつれ腰を痛めたりする人もいました。「塗装は好きだが、運搬がこたえる」と、若手スタッフがなかなか定着しないという悩みも抱えていました。
そこで、23年度から本格的に、塗料の運搬を人力からドローンに切り替えています。ドローンの機種は、運搬用を選定。運搬する塗料が「危険物第4類」に該当するため、塗料を入れてつり下げるオリジナルカーゴバッグは、航空局から飛行許可を取得しています。
操縦する際は、山の麓(離陸地点)に操縦者と目視などで操作をサポートする補助者を、山の上の鉄塔付近(到着地点)にも操縦者と補助者を配置。麓からドローンを離陸させ、山の上の到着地点で待つ操縦者がドローンを目視できたら、操縦権が到着地点側に移動。そこからは、到着地点側の操縦者が、目的地に荷物(塗料)を降ろすまでを担当します。