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インタビュー
株式会社エコー・システム/代表取締役
宇郷 亮(うごう まこと)さん
株式会社石井表記/取締役副社長
渡邊 伸樹さん(わたなべ のぶき)さん

弁当注文を自動集計 管理業務を大幅削減
エコー・システムの宇郷代表取締役(写真左)と石井表記の渡邊取締役副社長(同右)
―弁当管理クラウドシステム「お弁当たのみませんか〜?」は何を狙いとした、どんなサービスですか。開発のきっかけも教えてください。
 宇郷 企業や学校、病院などで扱う弁当や食堂のメニューの注文をウェブで管理するシステムです。総務部などの管理担当者が従業員からの弁当の注文を取りまとめ、給食業者に発注する作業は手間がかかるものです。注文の締め切り時間は午前10時前後という会社が一般的で、人数が多い会社ほど注文が集中するため、発注ミスが起こりやすく、従業員からクレームを受けることも少なくありません。月末には従業員個別の集計や請求書作成、あるいは給料天引きデータの入力などの処理作業にも時間を取られます。システムを活用することで、こうした作業の手間やミスを減らし、管理担当者が所属部署の本来業務に集中できる環境を整えるのが狙いです。
 2015年に愛知県で三つの工場を運営する顧客企業から、「弁当発注業務は毎日時間に追われる上、集計作業が大変。DXで何とかならないか」と相談を受けたのがきっかけです。当社は生産管理や販売管理など、基幹業務に関わる情報システムの開発販売を主業務としますが、弁当の発注で困っている企業や組織は案外多いのではないかと考え、1年間かけて実用化しました。
 管理担当者の業務が効率化され、利用者が好きなメニューを手軽に便利に注文でき、給食業者に注文が正確に伝わるなど、三者それぞれにメリットが得られるシステムを目指しました。
―どのような仕組みでしょうか。
 宇郷 従業員(利用者)がウェブ上のメニュー画面を見ながら弁当や食堂のメニューを自分で注文するシステムで、入力方法は「集中端末型」と「個人端末注文タイプ」の2タイプがあります。
 集中端末型は、会社や工場、食堂の入り口などに専用のタッチパネル式端末を置き、皆で使います。利用者がICカードをカードリーダーにかざしてログインすると、端末画面に弁当や食堂のメニューが表示されます。好きなメニューを選んで登録ボタンを押すだけで注文できます。個人端末注文タイプはスマートフォン、タブレット、パソコンなど個人用端末を利用します。注文の手順は集中端末型と同様ですが、個人アカウントを作成するため、過去の注文履歴を確認できる点が違います。
 両タイプとも注文の締め切り時間までなら何度でも変更や取り消しができる上、忙しい時などは数日分まとめて注文することも可能です。注文した情報は集約され、管理担当者はメニューごとに自動集計された数を給食業者にファクスや電話で伝えるだけで発注は完了します。

専用端末による注文方法と、スマートフォンやタブレットなど個人用端末での注文の2種類があり、それぞれの注文データはクラウドを通じて自動集計。管理担当者は集計された数をそのまま給食業者に伝えるだけで発注作業は完了
導入するメリットや実際の利用状況はいかがですか。
 宇郷 弁当の管理担当者は日次業務として、注文の集計とチェック、給食業者への発注、弁当の受け取り表の作成などを行い、月次業務として個別の代金集計、請求書作成などを行います。当システムを導入すれば、日々の集計や発注作業が効率化する上、システムには、個別の注文実績が蓄積されるため、社内のシステムと連動させれば、給与の天引きや請求書の作成も自動化されます。また、複数の給食業者に発注した場合でも業者別に実績が集計されるため、請求書の突き合わせもスムーズです。実証実験では従業員数180人、1日約80食の弁当を発注する企業で、当システム導入後、1カ月当たりの日次業務で900分、月次業務で365分の短縮効果がありました。
 当システムでは複数の給食業者のメニューにも対応できるのも特長の一つです。業者ごとに注文の締め切り時間が違っても、それぞれの時間に合わせて業者へ注文のファクスを自動送信できるオプション機能もあります。扱うメニューが増えることで、利用者の選択の幅が広がる効果もあります。給食業者側にとっては、注文間違いの心配がなく正確な配食ができる点が大きいと思います。1、2週間先の予約も受けられる機能もあるため、状況に合わせて食材の調達やパートなどの人員配置も効率化できます。このほか、システムは月額費用で利用できるクラウドサービスのため、機能がバージョンアップしても経費が増えない良さもあります。
 サービス開始から現在まで、380以上の法人に導入していただいています。工場を持つ製造業を中心に、一般企業、医療機関、さらに社員寮など、幅広い分野で利用されています。少人数の法人では1日30食、大規模な法人では2、3千食を扱っています。用途としては、弁当の調達に加え、食堂で利用する法人も多いです。入力方法は集中端末型が6割、個人端末注文タイプが4割といった比率でしょうか。全体の2割は併用しています。


石井表記さまがこのシステムを導入した経緯を教えてください。
 渡邊 半導体向けのパッケージ基板を製造する装置などを製造する当社は福山市の神辺工業団地に本社と工場を構え、ここで約300人が勤務しています。2022年2月、本社3階の食堂でこのシステムを導入しました。
 当社の食堂は6種の定食をはじめ、麺類や丼、カレーなど約20種類のメニューをそろえており、本社勤務の4割程度が日常的に利用しています。導入前は、食堂を利用する従業員に毎月7千円分(半額は会社負担)の紙チケットを配布し、メニューの料金に合わせて定食などと交換していました。紙チケットには100円券、50円券があり、支払う際に手間取る上、払い間違いや紛失も少なくありませんでした。制服の胸ポケットに入れたまま洗濯してしまう従業員もいました。一方、給食業者は毎月の請求時に大量の紙チケットを台紙に貼り付けて資料として提出する必要があり、提供した料理の数と紙チケットの枚数が合わないなど、手間や苦労が絶えませんでした。加えて、IT関連の顧客を食堂にご案内するたびに、紙チケットをやりとりするアナログな方式を披露することになり、恥ずかしく感じていたところ、エコー・システム様からこのシステムを紹介いただき、「管理業務が効率化され、利用者にも給食業者にもメリットがある」と判断し、集中端末型の導入を決めました。
これまで使用していた食堂用の紙チケットと、導入したICカード
どのように利用し、どんな効果がありましたか。利用者の声も教えてください。
 渡邊 日替わり定食、カレーと丼物、麺類の3コーナーにそれぞれタッチパネル式端末を置き、従業員はICカードをかざした後、好きなメニューを選びます。ICカードは従業員全員に配布しており、社内のシステムと連動させ、料金は給料から天引きされます。利用した従業員からは「紙チケットのわずらわしさがなくなった」「以前は1カ月分の紙チケットを使い切ると現金払いになって面倒だったが、半額補助の7千円を超えても、そのままICカードでキャッシュレス利用ができるので便利」といった声が多く寄せられています。システム導入後は、普段は自宅から弁当を持参している従業員による単発利用も増え、全体的に利用者数が1、2割アップしました。
 給食業者からは「注文データがメニューごとに集計されるため、日々提供した料理の数との照合が容易になった」と喜ばれました。紙チケットで時々起こった払い間違いや、頼んでいないメニューを提供してしまうといったトラブルもなくなり、請求作業の手間も大幅に削減されたそうです。
 管理に当たる人事労務部では、紙チケットの手配や会計処理などの業務で月に2、3日かかっていましたが、それがゼロになりました。紙チケットの印刷費も不要となり、経費の削減にもつながりました。
石井表記では食堂にタッチパネル式端末を設置。ICカードをカードリーダーにかざしてログインし、端末画面に表示されたメニューから選ぶ。同社はシステムをカスタマイズし、カードリーダー上の二次元コードを読み取れば、利用履歴や金額をスマホで照会できるアプリを製作している
導入や利用に当たって工夫した点はありますか。
 渡邊 当社の情報システム課の従業員が業務で培った技術を生かし、システムに二つの機能を加え、カスタマイズしました。一つは、利用者がタッチパネル式端末で入力を完了した時に「ピピッ」という完了音を出す機能です。食堂の調理スタッフが端末を見なくても入力の完了を確認できるようにするための工夫で、耳が聞こえにくい人もいらっしゃいましたので音と同時にランプが点灯する仕組みも構築しました。
 もう一つの工夫が、端末のそばに掲示した二次元コードをスマートフォンで読み込めば、メニューの利用履歴と金額が一覧できる機能です。そのための専用のアプリも自社で製作しました。月々の利用金額が分かるほか、「これまでどんなメニューをどのくらい注文したか」がランキング表示されるのも大きな特長です。「節約につながる」「自分の好みや食の偏りが分かる」と好評です。
石井表記が独自に開発したアプリ画面。食堂での利用履歴と料金、過去に選んだメニューのランキングも表示される
システムの今後についてそれぞれの立場で自由にお話しください。
 渡邊 利用者の日々の注文データが蓄積される点に注目しています。日ごと、月ごと、季節ごとの売れ筋を分析すれば、より魅力的な新メニューの開発に活かせるのではないでしょうか。物価高が続く中、利用者の多い日や少ない日の傾向が分かれば、食材の仕入れ量を調節でき、廃棄ロスにつながると思います。利用の少ないメニューを減らすのも効果的かもしれません。今後は、システムを食堂の効率的な運営に活用する方法も検討していきたいですね。
 当社の立地する工業団地は当社を含め17社があり、定期的に情報交換のため会合を開いています。食堂運営が議題になる機会もあり、このシステムを紹介したところ、導入を決めた企業もあります。
 宇郷 ありがとうございます。お客さまのご意見やご要望を聞きながら、より便利で利用価値の高いシステムに進化させていきます。このほか、当社では現在、福祉や医療施設向けの療養食管理システムの開発も検討中です。弁当管理のシステムで得たノウハウを発展させ、病気や症状に合わせたメニューをはじめ、刻み食やミキサー食といった介護食などを施設の担当職員が取りまとめ、効率的に手配できる仕組みづくりを目指しています。
 DXを活かし、さまざまな業種の事業や業務を幅広く支援していくことで、地域経済や地域そのものの活性化につなげていきたいと考えています。

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