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インタビュー
コープCSネット(生活協同組合連合会コープ中国四国事業連合)/専務理事
塩道 琢也(しおみち たくや)さん
コープアプリで組合員の暮らしを便利に
―生協ひろしまの組合員向けアプリ「コープアプリ」を開発したそうですね。どのようなアプリですか。
 組合員が生協の宅配商品を注文する機能が中心となります。注文方法は、商品番号を入力▽商品名を検索▽アプリ内のウェブカタログをタップ▽アプリに表示されるレシピから必要な食材を選択―など複数あります。「紙のカタログを自宅でじっくり見ながら商品番号を入力して注文」「ウェブカタログを外出先で見ながら、欲しい商品を選ぶ」など、組合員の暮らしに合った方法で注文いただくことが可能です。
 過去の注文履歴は7週分見ることができ、買い忘れや重複を防げます。お届け日には、配達時間の目安がアプリで確認できますので、トラックの到着を今か今かと待つこともありません。欠品や遅配の際はプッシュ通知で事前にお知らせする機能もあります。最近は食物アレルギーをお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。小麦や卵など特定原材料7品目をアプリに登録しておけば、特定原材料を含む商品を選ぶと「アレルゲン」と表示され注意を促します。

コープアプリのトップページ(写真左)。スクロールすると、よく使う機能がアイコンで表示される(同右)
宅配の注文以外の機能を教えてください。
 広島県内に七つある生協ひろしまの店舗で使える機能も満載です。電子マネー機能付きの組合員証「コプカ」を登録すれば、組合員証の提示から現金チャージ、支払いまでスマートフォン一つで買い物ができます。来店スタンプもたまります。レシートもアプリで確認できるため、ペーパーレスを実現しました。チラシや、ポイントアップデーなどお得な情報を載せた買い物カレンダー、レシピ動画を見ることもできます。
 生協ひろしまでは産地訪問や工場見学、料理講習会や学習会など、さまざまなイベントを実施しています。これまで紙や電話で行っていたイベントの告知から申し込み、開催後のリポート閲覧まで全てアプリでできるようになりました。アプリを起点に顧客である組合員との接点をさらに増やしたいと考えています。

開発した狙いを教えてください。
 生協ひろしまは独自の宅配システムを長年構築してきましたが、紙のカタログの配布や注文書の回収などアナログな部分が多く人手に頼っていたのが現状です。若年層の組合員に利用していただくためにも、デジタル化は以前からの課題でした。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響により宅配需要が急伸し、従来のシステムでは苦情や要望対応が遅れる場面が出てきました。慢性的な人手不足が続く中、将来の労働生産人口の減少を考えると、デジタル技術を活用した業務の効率化は待ったなしの状況となりました。そこで2020年4月に「DX-COOPプロジェクト」を立ち上げ、その一環としてコープアプリの開発を始めました。開発には「全ての世代に使いやすい」「アプリによって組合員が生協の商品を便利に利用できる」という顧客目線を重視しています。

ウェブカタログ(写真左)とグリッド表示(同右)
導入までの経緯を聞かせてください。 
 コープアプリは「アジャイル開発」という方法を採用しています。これは一度に完成を目指さず、実証実験を繰り返しながら必要な機能を追加する開発方式です。2021年10月には一部の組合員を対象にアプリを試験的に導入。「何度もログインを要求されないようにしてほしい」「トップページに配達状況のアイコンを加えてほしい」といったユーザーの声を聞きながら改修を繰り返し、22年1月の統一リリースに至りました。
 リリース後も、使い勝手をよくするためリニューアルを重ねています。アプリ内を探さなくても商品の産地や原材料、添加物などの情報をすぐに調べることができるよう、当初はなかった商品情報の検索画面アイコンを作り、トップページに表示させました。ウェブカタログも初めは紙のカタログと同じ表示だけでしたが、高齢者を中心に「見にくい」という声が上がったため、縦スクロールすると商品が順番に表示される「グリッド表示」機能を加えています。

利用状況はいかがですか。 
 2023年8月末時点で約6万7千人の生協ひろしまの組合員がコープアプリを登録しています。この人数は、宅配を利用している組合員の約39%(23年8月の注文書発行数より算出)に上ります。アプリを活用している組合員からは「どこでも注文できて便利」「欠品をあらかじめ教えてもらえるので、献立を変更したり、足りない商品を店舗で買い足したりできる」などの声が届いています。組合員総数は約40万人ですので、登録はまだまだ伸びしろがあると思っています。
商品番号を入力して注文する様子
今後さらに加えたい機能はありますか。
 宅配注文と店舗利用でそれぞれたまるポイントを、組合員が毎週、自由に移行できるシステムに2023年度中に変更する予定です。いずれは組合員加入や出資金の引き落としなど、現状はアナログ対応している事務手続きを全てデジタル化したいですね。住所や電話番号、引き落とし口座など登録情報の変更も全てアプリでできれば、ユーザー側の手間も省けます。届いた商品に傷みなどがあった場合、現在は配達員に知らせるなどの方法を取っていますが、いずれは傷んだ箇所の写真と情報をアプリで送ってもらえば、返品や返金が全て完結できる機能を持たせたいと考えています。
 チャットボットを活用した組合員対応も検討中です。問い合わせにはコールセンターが対応していますが、有人のため平日は午後9時、土曜は午後7時まで、日曜は休みです。チャットボットなら24時間対応できます。
 生協ひろしまは、広島県内の各自治体と包括協定を結んでいます。予防接種のお知らせや健康診断の案内などの行政情報をアプリで伝えることができないか、と考えています。住民票の発行など、将来的にはアプリを窓口に各行政につながるシステムを構築して、組合員の生活全般に役立つ機能を充実させたいですね。

アプリ以外に、DXに取り組む事例を教えてください。また、県民に向けたメッセージをお願いします。
 人工知能(AI)を使って配送ルートの最適化を図っています。地図システムの会社と連携し、「どのトラックが、どのエリアを、どのような順に、どのルートで」配達すれば効率がよいかの実証実験を2022年から進めています。23年度中には完成させ、トラック台数や人件費、燃料代の削減につなげる計画です。
 アプリで注文する人が増えたものの、手書きの注文書は高齢者をはじめ根強い需要があります。この注文書にもDXを取り入れています。用紙表にある「今週のおすすめ」は、AIを活用して一人一人違う商品を紹介しています。今後は精度をさらに高めて、購入率を上げていきたいと考えます。
 コープCSネットと聞いて「何をしている組織だろう」と思われた方も多いでしょう。アプリの開発以外にも中四国地方計9生協の宅配カタログの作成、商品調達、物流支援などの業務をしています。コープアプリ一つあれば、生協の買い物がより便利になり、生協だけでなくお住まいの地域の行政情報にもアクセスできる-。DXの推進を通じて組合員、ひいては県民の皆さまの生活のお役に立ちたいと願っています。
注文書「今週のおすすめ」のセレクトにAIを活用
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