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インタビュー
株式会社タテイシ広美社/代表取締役社長
立石 良典(たていし よしのり)さん
デジタルサイネージの活用で、今までにない情報伝達を!
―デジタルサイネージを取り扱うようになった経緯を教えてください。また、デジタルサイネージがどのようなものかと、導入費用についても知りたいです。
 私たちは、看板やサイン、LEDなどを扱う会社であり「情報を『形』にする」ということを経営理念に掲げています。先代が「これからは電光掲示板の時代だ」と、大手企業が作る既製品の電光掲示板販売を始めたのが、今から30年以上前のことです。しかしながら既製品では見せ方に限界があり、「もっと長さのあるものが欲しい」「大きなものを一面に使いたい」というようなお客様のご要望をいただく中で、オリジナルを作ろうと考えるようになりました。経験豊富な技術者を迎えて開発を進め、表示サイズに限らず、既存看板への埋め込みなど、本体のデザインにもこだわりました。また、当時は青色LEDが発明される前で、フルカラー表示ができずオレンジ色の文字中心の電光表示のみでしたが、21世紀以降はそれらも取り入れ、鮮やかな映像も映し出せるよう再開発しました。これが、電光掲示板から俗に言われるデジタルサイネージへの進化となりました。デジタル技術を活用して映像や文字を表示するデジタルサイネージは、従来の看板に比べ情報量が圧倒的で、多様な見せ方が叶う広告媒体です。ビルの壁面や国道沿いに設置する屋外用LEDビジョン、大型施設の室内に掲示する屋内用LEDビジョン、また高輝度液晶ディスプレイを活用し、タッチモニターを搭載したタイプ、メッセージを発信できるタイプなど、オーダーメードで製作できるようになりました。導入費用は大きさやスペックにより異なり、数十万円~数千万円単位になります。かつてはデジタル広告といえば数千万円が当たり前の世界だったので、数十万円から可能になったのは大きな進歩だと思います。
創業当初から販売を続ける電光掲示板
広島銀行八丁堀支店や庄原市のバス停で取り入れられていますが、その経緯や効果を教えてください。
 それぞれから「デジタルサイネージを取り入れたい」とご相談を受けたことが導入の経緯です。広島銀行八丁堀支店においては、今までにない広告媒体を活用して施設情報や地域情報を流し、地域の活性化に一役買いたいという目的がありました。ATMという特殊な場所なので、そのご要望に沿いつつ、映像表示中もビジョンの向こうが透けて見えるメッシュ(網目)形状の技術を開発し、デッドスペースを作らず明るく採光できる仕様にしました。多くの人の目に留まりやすく、かつ安全も担保しながら、効果的な情報発信ができています。また、庄原市のバス停においては、従来の運行表では利用者が不便に感じる面がありました。そこでデジタルサイネージにバスの接近情報を表示し、利用者が待つことなくバスに乗れるようなシステムにしました。渋滞など思わぬ事態でバスに遅延が生じても、「あと20分で到着」といったリアルタイムの情報を得られることで、利用者は近くのショッピングセンターでお茶をしながら待つというような選択ができます。地方において、バスはラストワンマイルを支える貴重な交通手段です。高齢者の免許返納や、若い世代でも自動車保有率が低下している中で、この貴重な交通手段を存続させていかねばなりません。また、バス運転手の人手不足も叫ばれている中で、適切なDX化を進めることで、バス業界を取り巻く諸々の問題解決に寄与できると考えています。
広島銀行に設置されているデジタルサイネージ
そのほか、デジタルサイネージがうまく活用できている事例があれば教えてください。
 全国で展開するバーガーチェーンのドライブスルーメニューでデジタルサイネージを活用してもらっています。これにより、紙でのメニュー張り替えが不要になり、新商品の提案を素早く行えるようになりました。また、カメラを搭載しているので、どのような層のお客様がどのようなメニューに関心を持っているのかが、購買傾向から把握できます。そのため、集めたデータをもとに「これも一緒にいかがですか?」と顧客に合わせた「併せて頼みやすいメニュー」をお店側からデジタルサイネージに表示し提案もできます。さらに高性能のミライスピーカー※1を搭載し、高齢者の方でも聞き取りやすく、注文しやすい仕様にしています。そのため双方の負担なく注文が行え、コミュニケーションが一往復ですんで時間短縮につながっています。県内では広島県庁の1階にデジタルサイネージを提供しており、こちらは非接触のタッチディスプレイを搭載しています。訪問先の人を呼び出すのに非接触で操作できるため、大変好評をいただいています。

※1 ミライスピーカー…小さな音でも空間全体に音を広げ遠くまでクリアに届ける特殊技術が搭載されており、誰が、どこにいても聴こえやすい音波を発生させる特徴を持つ。(https://t-kobisha.co.jp/post-10663/?pg=2#contents
今後挑戦していきたいことや、将来的なビジョンがあれば教えてください。
 ここ最近で、補助金を活用して課題解決できた2つのデジタルサイネージがあるので、これらを広めていきたいです。ひとつは、広島県の「ものづくり価値創出支援補助金」に採択された、「電源を落としてもブラックアウトしないデジタルサイネージ」です。デジタルサイネージはスイッチを切ると真っ黒な板のようになり、景観をそこね、寂しい印象を与えてしまいます。そこで、スイッチを切っても周囲の壁面になじむような、木目や大理石調のディスプレイを映し出したり、山や海の背景を流せる仕様を開発いたしました。もうひとつは、電力不足を解消するための「ソーラー発電型デジタルサイネージ」です。こちらは国の「事業再構築補助金」を活用し、開発を行うことができました。前者は開発費用に約3000万円、後者は開発費用に約9000万円かかり、その3分の2程度を補助金で補えました。すでに導入していただいている施設もあるので、これらがもっと広まれば、電力負担なく、デジタルサイネージを使って情報発信かつ、周囲をいつでも明るくすることが可能になると考えています。これからバーチャルの世界がますます進化していく中で、実店舗には今までにないような魅力づくりが求められてくると思います。ただの買い物だけならオンラインで事足りるようになってしまった現代で、「わざわざ足を運びたくなるような店づくり」は急務です。テーマ性のある空間演出をするためには多大な建築コストがかかってしまいますが、デジタルサイネージやプロジェクションマッピングといった大型スクリーンのデジタル活用では、建築コストを減らして空間演出をすることが可能です。今後もそのようなデジタルの活用法を広く提案し、地域や観光に貢献できればと思います。
壁面になじむ木目のディスプレイ(電源ONの状態)
壁面になじむ木目のディスプレイ(電源OFFの状態)
株式会社タテイシ広美社 ホームページ:https://t-kobisha.co.jp/

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