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インタビュー
税理士法人CUBE/公認会計士・税理士
武信 隼人さん(たけのぶ はやと)さん
クラウド会計の導入支援を通して中小企業を活性化し、日本の復興を目指したい
―クラウド会計の導入支援に取り組まれようと思ったきっかけについて教えてください。
 中小企業を支援し、日本を再興させたいという願いがあり、それにはクラウド会計が不可欠だと思ったからです。私は祖父と父がそれぞれ中小企業を起業して、倒産させたという環境の中で育ちました。そのおかげで子どもの頃はお金がなくて苦労しましたし、子どもたちに自分のような思いをさせないためにも、中小企業に伴走したいという志を持ったのです。
 クラウド会計は日本では2013年から導入されましたが、現場の肌感でいうとまだ導入している中小企業は10%もありません。しかし、クラウド会計が業務を飛躍的に効率化するのは明らかであり、アメリカや諸外国ではすでに70%近い企業が導入しています。日本でも、上場企業には外資系の戦略コンサル会社が導入支援をしているのですが、中小企業には導入支援をしてくれる会社が非常に少ないのです。だからこそ自分がやるべきだと思って創業当時から導入支援をスタートし、今ではクラウド会計システムの「freee」の導入支援で、当社が中四国1位、全国でも8位の実績を収めています。
導入支援を行なっているクラウド会計システムの「freee」
―クラウド会計とはどのようなもので、導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
 クラウド会計では、インターネットバンキングの入出金データやクレジットカードのWeb明細、電子マネーなどの入出金データを、APIでつなぎ、仕分け作業までAIが行います。これだけを行うものもクラウド会計と呼ばれますが、私が定義するクラウド会計は、さらに顧客管理や営業支援、給与計算、組織評価、そして財務会計や管理会計まで、すべてをAPIでつなぐことを指します。導入することで何ができるかというと、たとえば給与計算でも、最初に従業員の基本情報を入れ、勤怠を指紋認証や顔認証などで管理すれば、自動的に給与が支払われます。外注費や仕入れに関しても、一度AIに登録すれば後は自動で仕分けしてくれるので、毎月何千行もの取引先への入金を仕分けする作業が省けます。人事評価の際も、従業員の基本情報をAPIでつなげば再度入力する必要はないです。
クラウドシステムのAPI連携をまとめた図
―貴社ではどのような導入支援をしているのでしょうか。また、おおまかな予算感を教えてください。

 あらゆるクラウドシステムを、会計を理解する立場として、より効率的につなげることができるのが当社ならではの強みです。さらに、ただ導入するだけでは活かすことはできないので、当社ではまずしっかりとお話を伺い、業務プロセスの可視化と情報共有の方法を整理します。具体的には、業務記述書、業務フローチャート、リスクコントロールマトリクスをていねいに作成したうえで、導入へと進みます。こうしておかないと、社長の意図と社員の皆さんの理解することが変わってしまって、うまくいかなくなるのです。ここまで行なって、初期費用が約50万円です。ただし、このお金は業務効率化によってすぐに取り返せる金額です。
 欧米諸国はここ20年で平均給与が2倍になっていますが、日本はずっと横ばいです。何が違うのかといえば、日本は諸外国の企業と比べてITにかけるお金が段違いに少ないためコスト削減や売上アップができず、給与アップすることができていません。クラウド会計を導入することで日本の中小企業が活性化し、給与水準も上がります。
税理士法人CUBEで制作する「業務記述書」の一例
―支援を受けたお客様から届いた声を教えてください。
 業務が効率化できた、売上が上がったというのはほとんどのお客様から反響としていただいていますし、属人性が下がったという声も聞いています。先ほどお話した業務記述書と業務フローチャートがあれば、誰でも業務を回していけるシステムができます。社員それぞれがマイルールによって自分のやり方で仕事をしている状態では、スケールアップすることはできません。属人性が下がることによって、働き方改革などの職場環境の改善にもつながります。
―クラウド会計の導入支援は、どのような企業様からの引き合いが多いですか?
 メーカーや飲食業、サービス業など、業種を問わずあらゆる企業様からお声がけをいただいていますが、業種よりも、「変わりたい」という組織風土がある会社様から率先してお声がけをいただいている印象です。そして、そういう企業様が結果を出すことで注目され、輪が広がっていっています。今でも皆さん、どこかで「やらなければいけない」と意識されていると思いますが、近いうちに、やらないとどうしようもなくなる時期が来ます。
―導入することでどのような課題解決が期待できますでしょうか?
 クラウド会計の導入は、コスト削減や業務効率化、営業力・販売力の維持・強化、新規顧客の獲得、商品・サービスの高付加価値化、技術力の維持・強化など、中小企業が直面しているあらゆる課題解決につながります。これは間違いないことなので、あとはいつやるのか、ということです。
―今後チャレンジしていきたいことなどありましたら教えてください。
 税理士法人で終わるつもりはないので、ここでお話しきれないほどの構想を練っています。まだクラウド化されていないシステムもあるので、オリジナルのシステムをつくって自社でつなげるようにしたいと思っています。会計データを取り込むことで、将来的な成長性を分析し、そのために備えられるようなシステムを作りたいのです。またそれには、会計士やシステムエンジニアを含むチーム体制で中小企業に伴走する必要があると考えています。企業のさまざまな情報を開示し、人と企業、企業と企業をつなぐようなプラットフォームの構築も検討中です。まずは一社でも多くの中小企業の皆様にご満足いただけるサービスをご提供したいと思っています。
税理士法人CUBE ホームページ:https://cube-tax.com/
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