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インタビュー
株式会社エンヴィジョン/代表取締役
平岡 正人(ひらおか まさと)さん
普遍的で直感的な、若手とベテラン層が連携して実力を発揮できる仕組み作りを社外にも提供
―どのような背景でDXに取り組まれたのでしょうか?
 私たちの会社は、ビリヤード用品の製造販売と輸入販売を行っています。ただ、過去7年間は新商品を出せていない状態でした。
会社が成長しなくなるのはどんなときかというと、複雑性が増すときです。社内的にはコンプライアンスやジェンダーレス、働き方改革など、また社外的にはSNSマーケティングやインターネット広告の多様化など、複雑性が加速している。新商品が出せていないのもそうしたことが理由で納得のいく物作りが出来ていないことが原因だと考えました。
 複雑性を回避するために大切なのは理念経営をすること、組織化による役割分担、そしてITの活用だと考えていました。このITの活用、DXに資源を集中させることが一番効果的だろうと考えました。経営において当初から意識していたのが、普遍的で、どんなビジネスにも当てはまる拡張性のある仕組み作りをすることです。ITの活用というと、これまで人間が機械やソフトに合わせることを強いられてきましたが、人を中心に考え始めた企業から成功し始めています。ベテラン層を置き去りにするのではなく、新しいものに強い若者層と、知識の層が厚く抽象的な思考に強いベテラン層が共有し、協力し合える、直感的で操作性の高い仕組みが大切だと思っています。
セールスフォースを使用して売上の目標と実績をグラフに
―直感的で操作性の高い、人が中心の仕組みとしてどのようなことを実践しているのでしょうか。
 一つには、社員共有のタスクや情報をGoogleスプレッドシート上の表で一覧できるようにし、直接リンクをさせることで効率化を図ることです。通常のフォルダ分けだと、たとえば複数の社員が使うことになる採用情報に関するデータを見ようと思ったら、(例)「社員共通」→「組織」→「委員会」→「採用」など、複数の階層で探さないといけませんよね。これが色分けされた表になっていることで、視覚的に「採用」を見つけ、ダイレクトに必要な情報にアクセスできます。この表には給与や評価体制についてのリンクもあり、中身はセキュリティをかけてあるため幹部しか見られないようになっているのですが、社員にも「評価体制がしっかり管理されているんだな」という意識を共有することができます。こうした業務効率化と、Apple製品(Mac/iPad/iPhone)ですべてをクラウド上で繋ぐ体制により、たとえばファイルの共有や更新などを一度に行うことができ、仕事の効率は以前の10倍くらいになっている感覚です。これにより、社員数は変えずに、売上は14期の4.9億円から16期の10億円(予算9.35億円)と2倍近くに伸びました。
視覚的にフォルダへアクセスできるようにリンク付けしたスプレッドシート
―業務効率化のために既成のツールなども導入しているのでしょうか?
 2015年から営業支援ツールとして「Salesforce」を導入しました。しかし、数年間はうまく活用できていない状態でしたが、自社の業務に合わせた使い方を整理することでこの2年ほどで大幅に進化させる事ができ、今では基幹システムとしてなくてはならないツールになっています。タスク管理では、プロジェクト管理システムの「monday.com」を使っています。社員一人ひとりがタスクと期限を設定し、それを一覧で見ることができるため、タスク管理がラクになります。一つ一つのタスクに関して担当者と上司がチャットでやり取りすることもでき、場合によっては「このタスクは必要ないんじゃない?」と上司がアドバイスする事も増えてきました。1日のタスクをぎっしり立ててしまうと大変ですが、社員には「リスケはOK、但し間に合わない場合はチームで共有しよう」と伝えています。タスクとタスク管理を効率化する事で無駄な確認を随分と減らすことができます。時間が余るようになれば人は新しいことを考えようとするのです。これにより、過去7年間、新商品が出ていなかったのですが、この1年では7つの新商品がリリースされることになっています。
monday.comのタスク管理画面
monday.comのチャットでのやりとり画面
―今後の展望をお聞かせください。
 ビリヤード用品の販売を手掛ける当社では、ビリヤードのオリンピック競技化を目指しています。そのために、夜の遊びというイメージがあるビリヤードをクリーンなスポーツとして広めるべく、喫煙する選手をパートナーから外すなどさまざまな取り組みをしています。こうした大きな取り組みをするときには、誰もが同じ視野を共有していることが大切であり、それにはDXが不可欠です。海外のパートナーとオンライン会議をする際にも、同じ企画書をリアルタイムで共有し、その場で一緒に内容を調整することができれば、後から修正・確認する手間が省け、より良い企画を作成できます。また、DX事業部を立ち上げ、他社様の複雑性を回避し、誰もが使えるDXを推進するコンサルティング業務も本格化していこうと思っています。DXによって機械にできることは機械に任せることにより、人間の仕事をお客様が困っている事に共感し課題を見つけることに集中させることができます。コンサルティング業務のお客様には、複雑性が下がり、代表の心配ごとを減らすという意味で「社長の寝る時間を増やしますよ」ということをお伝えしています。
株式会社エンヴィジョン ホームページ:https://www.en-vision.co.jp

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