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インタビュー
広島大学大学院医系科学研究科腎泌尿器科学教授
日向 信之ひなた のぶゆきさん
オペの時間短縮や患者の負担軽減に取り組んでいます!
DX取組について教えてください。
 正確で微細な動作が可能な最先端の手術支援ロボットをオペに使用しています。ロボットのアームに内視鏡や治療器具を取り付け、執刀医は3Dモニターを見ながら手元のハンドルを操作。手の動きに連動したロボットアームで手術を行います。広島大病院は、米国製の「ダヴィンチ」を2010年に中四国地方で初めて導入しました。前立腺がんや腎臓がんの手術で実績を積み、17年に2台目を設置。胃がんや食道がん、直腸がんなどにも範囲を広げています。さらに、初の国産機「hinotori(ヒノトリ)」を導入予定で、3台体制になります。 
広島大病院に導入される初の国産手術支援ロボット「hinotori
手術支援ロボット特長
 従来の腹腔鏡手術用の鉗子(かんし)は曲がらないため直線的な動きしかできず、柔軟性に欠けていました。手術支援ロボット鉗子は多数の関節が付いて自由度が高く、鉗子の先端を540度回転させることができるため、人間の手で難しい微細な手術が可能です。さらに、高画質な3D画像を10倍程度拡大できるので、執刀医は立体的で鮮明な視野の下で、より高い精度の手術ます。
ロボット導入による効果や最近の動向を教えてください 
 手術の精度が高いので、がんの確実な切除をはじめ、出血量の減少や時間の短縮にもつながるほか、患者の身体への負担を減らし、安全性も高められます。広島大病院泌尿器科では22年1月時点で、がんに対する前立腺全摘除術、腎部分切除術、膀胱(ぼうこう)全摘除術の全てで、支援ロボットを活用しています。保険適用の範囲はどんどん広がっており、泌尿器科だけでなく消化器外科での膵頭(すいとう)十二指腸切除術や、呼吸器外科での拡大胸腺摘出術などでもロボット支援手術が活用されています。 
医療現場の視点から、デジタル技術によってどんな未来が実現できますか。
 コロナ下でオンライン診断大きく進展しました。さらに、医師患者だけでなく、5世代5G)移動通信システムのネットワークを使って、経験の浅い若手医師が遠隔地にいる専門医の言をリアルタイムで受けて診療したり熟練医師遠隔地の手術支援ロボット操作したりするど、都市と地方の医療格差の解消に向け、医師と医師をつなぐ実証実験がすでに始まっています。
 そのほか、手術の画像情報や履歴を収集して、人工知能AIを使って匠(たくみ)の技を解析し、若手医のスキルアップを大幅に早めたり、皮膚を縫うといった簡単な役割自立制御のロボットで自動して医師不足の解消に役立てたりすることもできるでしょう。さらに、手術支援ロボットが安価になれば、救急車でロボットを使って緊急手術を行うなど、救える命が増えることにもつながります 
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