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インタビュー
篠原テキスタイル株式会社新規事業開発リーダー 
篠原 由起(しのはら ゆうき) さん

デジタル化で製造現場を身近に感じてもらっています!
DXに取り組んだきっかけは 
 福山市はデニム生産量で国内トップクラスの地域です。伝統技術を基に生み出す高品質のデニム製品が福山にあることを知らない人が多く、当社の存在も含めもっと広く伝え、身近に感じてもらおうとデジタルの活用を始めました。当社は1907年、この地で絣(かすり)織物業を始めました。現在はデニム生地製造に特化し、コットンやリサイクルポリエステルなどを使って生地を製造。ポリエステルや、間伐材などから作るテンセル®を使った個性的な製品も手掛けています。 
―デジタル技術をどのように事業に生かしていますか 
 多くのメーカーが集まる合同展示会で実際の製造現場を体感してもらうため360度3Dアングルで撮影した工場VR映像と専用ゴーグル準備2019年から会場に持ち込んでバイヤーに見てもらっています「臨場感があり、デニムに興味を持った」など好評です。また21年にオンライン中継も始めました。エディオン蔦屋家電(広島市南区)の会場と工場をオンラインでつなぎ一般製造現場と製品を紹介。「デニムはこんなに手が掛かっているとはなど反響があり手応えを感じましたこのほかネット販売も20から開始しました端材を使って地元企業と協業し、ソックスなどを作り専用サイトで販売。購入者から生の声製品の改善や開発につなげています  
伝統技術とデジタルの融合についてはいかがでしょう
 当社は糸を風で飛ばして織る最新織機「エアジェット」「レピア」30以上前の旧式織機「シャトル」など合わせて33台の機械製作する生地によって使い分けています工場は24時間稼働しおり、機械が休みなく生地を織っています。素材となる糸は、天然のものも多く、何らかの要因で製織中に切れて織機が止まってしまうことがあります。その際、最新型の織機では、停止した回数や要因、稼働時間などのデータが取れるようなっていますが、旧式織機では、データは取れないため、原因が分かっていませんでした。そこで、ソフトバンク(東京)がデジタル技術を企業や官公庁向けに紹介する拠点「せとうちテックラボ」(福山市)に相談し、試験的にレーザー距離センサーを設置。停止したら開発リーダーである私LINE(ライン)通知がり、毎日稼働率の集計も表示されるようにしました今後は、稼働状況を解析したさまざまなセンシングデータ全社員で共有。生産量や納期と直結稼働効率上げていき意識改革につなげていける確信しています。 
光センサーを設置したシャトル織機
―デジタル化による今後の展望を教えてください 
 これからのものづくりには広域連携が課題と考えています。広島、岡山県境をまたぐ「三備地区」は全国屈指の繊維産地。地区それぞれの業者の個性を生かしながら連携してデジタル化を進め、世界へと発信していけたらと考えています。デジタル化によって身近になった各地域の技術や個性が、やがては良い意味で競争を招き、さらに優れた製品が世に生まれることを願っています。 
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