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インタビュー
こころ石内北自治会・自主防災会/会長

木村 正信 (きむら まさのぶ) さん

地域情報共有にデジタルを活用し、住民のつながりと自主防災力を強化


―自治会の活動にデジタルを取り入れようと思ったきっかけを教えてください。
 当自治会が分離独立した2018年当時、近隣で大規模な豪雨災害が頻発したことに加え、この地域には「五日市断層」という活断層が走っているため、自治会としての災害対策を考える必要がありました。早く一斉に連絡できて、安否確認ができるツールを模索していた時に、福山市の株式会社コアシステムズが学校向けに提供している学校向け連絡網システム「ラインネット」が活用できないだろうか、という案が上がったのです。
 コアシステムズに相談してみると、自治会などの地域団体での採用例はないが、システム的には活用可能と分かりました。そこで私が自治会長になった2019年度から本格的に導入。登録用二次元コードを配布してスマホで読みとってもらい、名前と番地、家族情報を入れて返信すると登録完了。一斉メールのほか、街区、係などグループ別にも選択送信可能としました。
  まず始めた送信内容は、主に自治会からのお知らせ。清掃や有価資源ごみ回収日などの事前告知に加え、前日にも再度送ることでリマインダーに役立ちます。画像やデータの添付もできるので、落とし物のお知らせには写真を添えて送るなどの工夫も。導入当初は未登録だった人も、住人同士の口コミで利便性が広がり、徐々に登録者が増加。新規転入者には自治会加入と合わせて登録をお願いし、スマホ活用に抵抗のない若い世代が多いこともあり、現在(2025年2月)自治会加入1,231世帯のうち登録率は95%になりました。しかし、漏れのない安否確認のためには登録率100%でないと意味がないため、引き続き呼びかけを続けています。

自治会DXについて語る木村さん。既存のシステム利用のため初期投資は不要。個人情報管理などのセキュリティ費用や保守費用を含むシステム利用料を自治会費から計上している。


―回覧板にも活用を始めたそうですね。

 自治会からのお知らせ以外にも、社会福祉協議会などの地域団体から届く回覧用の紙の配布物があります。これまでは石内北学区集会所のスタッフがそれらを仕分けして集会所の各街区(町内会)のポストに入れ、街区長に通知。街区長がそれを取りに来て、街区長から各街区で回覧してもらっていました。しかし日中は留守にする共働き世帯が多いため回覧に時間がかかり、回って来た時には旬の情報ではなくなっていることも多かったんです。
  そうした煩わしさや課題もあり、会員の中から提案が上がったのが、一斉メールシステムの回覧板への活用。2024年1月から紙の配布物を集会所のコピー機でPDFデータ化して添付送信し、仕分けや回覧板受け渡しの手間の省力化と情報共有のスピード化を図りました。導入前のアンケートで従来の紙回覧を希望された世帯には班長がピンポイントで配布。現在は全69班のうち15班、その中に2〜3世帯の紙回覧希望者がおられるくらいの比率です。

配布物をPDF化し、メールからクリックで確認できるようにした。


配布物のスキャニングなど自治会運営のサポートは、石内北学区集会所の常駐スタッフが担当。広島市が募集する広島型地域運営組織「ひろしまLMO(エルモ)」に応募し、交付される助成金で活動拠点である集会所の維持管理・運営費や人件費を賄っている。


―その他には、どのような活用がありますか?
 2024年度から利用可能にしたのは、自治会費のオンラインクレジット決済。映画館予約システムの要領でスマホ決済ができ、クレジットカード情報はカードの変更や、有効期限切れの発生、そしてセキュリティ面を鑑みて都度データ消去し、面倒でも納入ごとに入力してもらう形で取り入れました。結果的には利用した世帯は76%に上ります。システム手数料が引かれて自治会に入金されるため、その分だけ収入減になることが課題です(上期・下期の自治会費:半期分3,000円で130円、全期分6,000円で240円)。
  もう一つの新たな取組は、自治会への要望などを問うアンケート用紙の配布・回収をGoogleフォームのアンケート送信に切り替えたこと。回収する人の目に触れる紙には書きにくかったことも伝えやすいのか、回答率は約3倍に上がり、奇譚のない本音の意見も増えた印象です。


―当初の目的である災害対応への活用は?
 2024年8月に石内北学区が担当した佐伯区総合防災訓練で活用しました。実施日の朝に訓練用の避難指示を一斉メールで送信し、それを受けた住民が最寄りの公園に集合。デジタルだけでなくアナログとの両輪での災害対策が必要と考え、事前配布した「無事です」と書かれた黄色いタオルを避難前にドアノブにくくりつけてもらうようにしました。リーダーが名簿確認できた班から指定避難場所である石内北小学校に移動して、避難者受付訓練や救出・救命訓練、避難所用の食事や寝床づくりなどを体験しました。
  一斉メールを取り入れた訓練が地域の防災意識とコミュニケーション向上に役立った手応えを感じた一方で、チャットのようにリアルタイムでの双方向のやり取りができない弱点なども実感し、今後の課題としています。これからもデジタルの良いところを情報共有や暮らしやすさの改善に活かしつつ、より安心・安全なまちづくりに住民一丸となって取り組んでいきたいと考えています。


防災訓練時に一斉送信した訓練メール。


実際に体験してもらった災害訓練の様子。


石内北自治会 取組
2018年 
  こころ自治会から分離独立
2019年
  自治会からの連絡に一斉メールシステムを活用開始
2024年
  一斉メールシステムを電子回覧に活用
  自治会費のオンラインクレジット決済開始
  一斉メールシステムを利用した総合防災訓練を実施
  自治会アンケートを電子化
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