第6回事例研究会(福祉・介護編)
現場を楽にするデジタル化 〜介護現場の業務効率化とサービス向上〜
〇セミナー後記(動画)
2025(令和7)年2月26日(水)に第6回事例研究会「現場を楽にするデジタル化〜介護現場の業務効率化とサービス向上〜」をハイブリッド形式で開催しました。
※当日のセミナー内容はこちらからご覧いただけます。(YouTubeへ遷移します。)
1 概要
本研究会では、講師による福祉・介護業界の現状と課題の説明、事例企業による取組内容の発表、講師による事例のポイント解説を実施した後、会場参加者にタブレットを使って介護記録システム、見守りシステムを実際に操作していただきました。
2 福祉・介護業界の現状と課題について
まず、福祉・介護業界の現状と課題についての調査資料を基に、業界全体として人手不足が進行していること、2024年度は介護事業者の倒産が増え、経営的な厳しさが増していることが説明されました。
今後もその傾向は続くことが予想され、課題に対応するためには付随業務の効率化などによる、生産性の向上が不可欠であるとの説明がありました。
3 事例事業の取組内容について
事例企業による取組内容の発表では、社会福祉法人慈光会特別養護老人ホーム慈光園の楪(ゆずりは)様から、タブレット端末による介護記録のデジタル化について、経緯と効果の説明がありました。
従来は、入居者のバイタル情報(体温・血圧)や引継担当者への申送りを紙で行っており、記録用紙から個人日誌への膨大な転記作業、申送事項の伝達ミス、紙の保管の手間など多くの問題がありました。
効果としては、紙の削減や記録作業にかかる時間の削減だけでなく、申送事項の既読者確認による伝達ミスの減少、受診付添時の医師への正確かつ詳細な説明など、入居者へのサービスの向上も可能となったそうです。
発表の最後には「想定していたほどの苦労はなく、大きな効果を実感しているため、早めにデジタルツールを導入することをお勧めします」とのメッセージが語られました。
4 事例のポイント解説について
続いて、講師が、事例のポイントである導入時の工夫や導入後の職場の雰囲気、入居者との関わり方の変化などについて、楪様と対話しながら解説しました。
従来の運用の大変さを職員が強く実感していたため、システム導入について職員の抵抗は少なかったとのことでした。まずはユニットリーダーを中心に勉強会を実施し、リーダーからデジタルが苦手な職員にゆっくり丁寧に説明することや、一部機能から段階的に導入する等の工夫により、大きなトラブルはなく進めることができたとのことでした。
導入に際して職員が前向きに協力できた理由として、「老後に生きがいを」という理念が従来から職員に共有されており、チームワークが形成されていたことが挙げられました。現在では、システムによる情報共有がスムーズになったことでトラブルも減り、職場の雰囲気はより一層良くなったとのことでした。介護記録システム導入が成功したことにより、次の取組として、見守り機器の導入を検討しているとのことです。
今後については、「デジタル活用により業務負荷軽減と職場の雰囲気向上をより一層進め、職員の定着率を上げることで、業界の大きな課題である人手不足にも対応していきたい」との決意が語られました。
5 デジタルツール体験会について
デジタルツール体験では、まず介護記録システムについて、入居者の登録を行い、その後、体温や食事量、申送事項の定型文入力など介護情報の記録を体験していただきました。
続いて、見守りシステムでは、会場と遠隔のショールームをオンライン会議システムで接続して、リアルタイムでの入室やベッドでの寝返り等の利用者の動きや心拍数、呼吸数を手元のタブレット端末で閲覧していただきました。
実施後のアンケートでは「事例が具体的であったため実務展開のポイントがよく分かった」「事例の聴講とデジタルツール体験が同時にできDXのイメージが非常に分かりやすかった」「導入後の職員の情報リテラシーやデジタル化への意識の変化を伺えて良かった」などのコメントがあり、デジタル化の取組について、具体的なイメージを持っていただけました。
6 最後に
今年度の事例研究会は今回で最後となります。
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