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インタビュー
ちんちくりん 株式会社ケーツーエス/統括管理部運営企画課 課長
岡本 美紀(おかもと みき)さん
配膳ロボを導入し、広い店舗でもお客様に焼きたてのベストな状態で料理をお届け
―配膳ロボを導入しようと思ったきっかけについて教えてください。
 当社は多くの店舗を運営しているので、DXに関していろいろなお話をいただくのですが、特に「ちんちくりん宮島口店」は店内がとても広いんです。できればお客様には鉄板の近くの席に座っていただいて、焼きたてを食べていただくのがベストではあるのですが、奥に海を見渡す気持ちの良いお席があるので、1組目のお客様からそちらにご案内しています。そうなると、鉄板から他店にはないくらいの距離が生まれてしまうのです。そこで、お客様に少しでも早く料理をお出しできるよう、配膳ロボットを導入することにしました。
 配膳ロボットというと、昔は店の天井にラインを這わせて、それに沿って動くというもので、工事代もとても高くつくものでした。しかし、今回導入したソフトバンクさんの「Servi(サービィ)」は、Wi-Fi環境さえあれば動くことができ、以前よりぐっと手軽に導入できるようになったことが決め手になりました。
ちんちくりん宮島口店で実際に稼働してる「Servi(サービィ)」
―配膳できるものや持続時間など、配膳ロボについて詳しく教えてください。
 最初に、業者の方にホームの位置とテーブルごとのストップ位置を設定してもらいました。料理を何品も載せて、いくつかテーブルを回って帰ってくるということもできるようですが、お好み焼きはサイズが大きく、食べたことがない県外の方もいらっしゃいますので、基本的にオーダーごとに配膳し、お好み焼きを配膳ロボからおろす作業はスタッフが行っています。ただ、今まで4枚お好み焼きをご注文いただくと、先にスタッフが2枚をお届けして、また鉄板に戻り、さらに2枚をお運びするという移動の手間があったところを、配膳ロボに2枚載せ、スタッフが残り2枚を持って一緒に運ぶことができるので、かなりスムーズになりました。継続時間については、コンセントで一晩充電しておけば、10時間から12時間程度稼働できます。オプションでプレートが揺れてもバランスを取ってくれる「アシストプレート」をつけたので、満タンのビールは難しいですが、ソフトドリンクならこぼすことなく配膳できます。
「アシストプレート」をつけることでソフトドリンクの提供も容易に
―導入する際の費用感について教えてください。また、導入当初、困難に思ったことなどありましたか?
 月々109,780円のリース代+オプション分の初期費用です。困難というほどではありませんが、最初は配膳ロボとの呼吸の合わせ方がわからなくて、配膳ロボにお好み焼きを1枚載せて、スタッフがただ後ろをついて歩いているような状態でした。ロボットの動きを信用しきれず、お客様にぶつからないかという心配もしていたのですが、センサー付きで人が来たら止まるようになっているので、ぶつかることはないんですよね。最初は、テーブルごとに止まる位置を業者さんに微調整してもらいながら、使いやすいように整えていきました。アルバイトの若い子たちは、1週間もしないで慣れていたと思いますよ。今では4枚オーダーがあれば、まず2枚を配膳ロボに載せて送り出し、テーブルにつくまでの間に他のお好み焼きのソースだけ塗って、残り2枚を持って配膳ロボを追いかけるという風に、タイミングを合わせて使いこなしています。
―導入後、社員の方やお客様から寄せられた声を教えてください。
 スタッフは作業がかなり効率化されたので喜んでいますね。配膳時だけでなく、下がゴミ箱になっているので、テーブルを片付けるときにも重宝します。お客様を驚かせてしまったらいけないと思い、最初は入口に「ロボット配膳中」というポップを出しました。配膳ロボは鉄板前で待機しているので、必ず来店されたお客様の目に入ります。常連様のお子さんに、「ロボット見に来たよ~」と言っていただけることもありますね。そしていざ、配膳ロボでお好み焼きをお届けすると、大人の方でも「おお〜」と喜んでくださいます。海外の方では動画を撮られる方もいらっしゃいますね。1枚のオーダーであっても配膳ロボを使わないとがっかりされることがあるので、なるべく使うようにしています。
―導入することで、普段の業務がどのように改善されたか教えてください。
 人件費削減とまではいかないですが、スタッフの作業量を大幅に軽減することができました。宮島口店は紅葉シーズンの11月が一番の繁忙期で、私もヘルプに来るのですが、店が終わる頃には他のどの店でも感じたことのないくらいの疲労感を覚えていたんです。スマートフォンの歩数計を見たら、1日の営業時間中に10~12kmくらい歩いていました。若いアルバイトさんでもやはり疲れてしまうので、配膳ロボの存在にはとても助けられています。
そして何より、配膳時の時間のロスを削減し、焼きたてをすぐにお客様に配膳できるようになったことにメリットを感じています。お店では、たとえば会計やご来店があっても、料理が出きたら最優先でお出しするようにしています。ただそれでも、4枚のお好み焼きをお届けするのに2枚ずつに分けていたら、最初の2枚を運んでいるうちに鉄板で待機している2枚のお好み焼きは焼きたてから若干時間が経ってしまいますよね。当店では、パリパリに焼き上げた生麺をおすすめしているのですが、焼きたてから時間が経つとパリッとした食感が失われてしまいます。配膳ロボを使うことで、お客様に一番おいしい状態でお届けできるのはうれしいですね。
―今後、チャレンジしたいことについて教えてください。
 飲食業界では人材不足が課題ですので、DXに関してこれからも良いものがあれば取り入れていきたいと考えています。2019年には軽減税率対策補助金を使ってタブレットオーダーシステムを導入したのですが、とても便利で、それまでどうやってこれなしで回していたんだろうと思うくらいです。経理業務のペーパーレス化や、各店の売り上げ分析がすべて確認できる「スマレジ」も活用しています。お支払いはキャッシュレスが多く、デリバリーもあるので、たとえばPayPayでお支払い済のものを出前館で打ってしまったときにはエラーが出るなど、ミスを防ぐためにも、そういった機能が追加されるとうれしいです。また、八木店では、来店顧客の分析のため、お客様の人数や性別・年齢を見分けることができる防犯カメラもお試しで置いています。
 タブレットオーダーでは、メニューだけでなく、動画も盛り込めるので、県外や海外の方向けにお好み焼きの食べ方動画も載せています。料理をお待ちいただいている間に動画を楽しんでくださっているお客様も多く、サービスの向上につながっていると実感しています。
観光客に喜ばれているタブレットオーダーで閲覧できる動画
株式会社ケーツーエス ホームページ:https://www.k-2-s.jp

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