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インタビュー
広島県医師会/会長
松村  (まつむら まことさん

データを一元管理して、健康寿命の延伸を目指します 

広島県医師会はどのようなDXを進めていますか
 広島県内の病院や薬局など患者の医療情報を共有する「ひろしま医療情報ネットワーク(HMネット」を2013年にスタートしました。切れ目のない医療や介護の提供とともに、重複する検査投薬を防ぎ、患者の負担軽減や医療費の削減つなが地域医療連携ネットワークです。報共有に同意してHMネットに登録した人にHMカードを発行。参加している医療機関や薬局などカードを提示すればサービスを受けることができます。
具体的にどんな機能がありますか
 HMカードの発行を受けた人が基幹病院で診療を受けたり、入院したりすると、患者身体状況や病状、治療などのほか検査結果やアレルギー、投薬情報などがHMネットのサーバーにアップされます。その後、かかりつけ医などHMネットに参加している他の医療機関を受診する際、検査結果はもとより、治療歴や投薬歴、入院中の経過など、医師がHMネット詳しく把握できるので、より適正で効率的な医療を受けることができます。お薬手帳の機能もあり、連携したアプリひろしま健康手帳使えば、参加薬局で調剤された薬の情報は自動的にアプリに反映され、スマートフォンで簡単に確認できるほか、災害時でも適切な処方を受けることができます 
救急搬送における取組も試行しています。
 広島市消防局と連携して救急隊員が患者を搬送する際に、救急医療情報を確認する仕組みを試行しています。HMカード保有者が緊急連絡先や既往歴、救急関係者への伝言などを事前登録しておきます。救急搬送の現場では、患者本人から話が聞けなかったり、家族に連絡がつかなかったりするケースがあり、登録情報で基礎疾患などを把握受け入れ先のスムーズな確保につなげます
 そのほか、在宅医療・介護の現場で、医師や看護師はもとより、ケアマネジャー、介護士など多職種の人が、利用者に関わる情報を共有できる機能も備えています 
カード所有者の情報を検索する手順を確認する安佐南消防署の救急隊員2021129日、中国新聞朝刊「医療情報を共有 迅速に救急搬送 県・消防局など試行 患者がアプリに登録」より)
新型コロナウイルスでオンライン診療が進められました今後はどうなりますか?
 アフターコロナではオンライン診療さらに普及するでしょう。HMネットはその基盤でもあります。HMカードに記載されている番号を医師に申告すれば、医師はHMネットを通して患者の投薬情報や健康情報を詳細に確認できます。これは、得られる情報が限られる画面越しの診察において、患者にも医師にも大きなメリットになります
 県民への浸透、普及を図り、登録者や参加機関を増やすとともに、健康、医療、介護に関する報を一元的に管理して健康寿命の延伸を目指すほか、大学での研究や行政の保健・医療施策などにも活用できるシステムを整備していきます。 
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