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インタビュー
広島電鉄株式会社/DX戦略室課長
西谷 由江(にしたに よしえさん


ジタル技術で交通を便利に広島の街を元気にしたい

―新たに取り組んでいるIT点呼について教えてください。
 デジタル技術を活用したバスの運行管理の高度化に取り組んでいます。バス運転士の乗務前後の「点呼」を、対面ではなく離れた場所で実施する「IT点呼(IT機器を用いた遠隔点呼)」もその一つです。2021年5月から、廿日市営業所(廿日市市)のバス乗務員と、広島南営業所(広島市中区)の運行管理者との間で、デジタル機器を介してIT点呼を実施する実証実験に参加しています。現在は、高度な点呼システムを導入することで、運行管理者と乗務員とのビデオ通話によるコミュニケーションに加え、アルコール検査や体温測定の結果をシステムに連携させるなど、確実で効率的な運行管理体制の構築を進めています。
 公共交通を持続可能なサービスとするための手段の一つとして、IT点呼システムにより、安全性の向上と、運行管理業務の効率化を図っていきたいと考えています。
―「MOBIRY(モビリー)」はどのようなサービスですか 
 MOBIRYは、20年3月に始めたデジタルチケットサービスです。乗車券をスマートフォンで購入し、スマートフォンの画面を乗務員に見せて乗り降りすることができます。広電電車を一定時間、何度も乗り降りできる乗車券や、広電電車に加え、広島市内中心部のバス、宮島へのフェリーも合わせて利用できる乗車券など、5種類でスタートし、随時サービスを追加しています。紙の一日乗車券は販売場所まで出向いて買う必要がありますが、MOBIRYはいつでもどこでも購入できます。
 当初は観光用として考えていましたが、これからは、地域の皆さまや広島で開催される国際会議などでのご利用との組み合わせも検討し、地域と連携して広島を盛り上げていけるようなチケットサービスに成長させたいと思います。 
MOBIRYは、スマホ画面を降車時(一部路線では乗車時)に乗務員に見せることで利用できます。

AIオンデマンドバスも運行しています 
 予約に応じて最適な経路で車を走らせるAIオンデマンドバス「SMART MOVER(スマートムーバー)」を、21年2月に開始しました。お客さまの乗車場所と降車場所を人工知能(AI)が分析し、効率的な送迎順を判断。佐伯区五日市地区の沿岸部を10人乗りのワゴン車2台が走っています。
 SMART MOVERは、お客さまの利便性向上や、無駄なく輸送できる運行側の利点に加えて、交通空白地帯の解消に向けた取組でもあります。今後は、路線バスと組み合わせた交通手段として中山間地域での活用を検討するなど、社会的な課題の解決にも役立てたいと考えています。 
交通分野のDXについてどのように考えていますか?
 私たちは、皆さまの生活基盤を支える公共交通事業者として、新型コロナウイルス禍にあっても、安全で持続可能な交通サービスを提供する役割を担っています。そのために、デジタル技術を活用して安全性と利便性を維持向上させながら効率化を図り、さらにはデジタルチケットサービスや新たな交通モデルによって、移動の機会そのものを増やしていくことで、広島の街の活性化にも貢献したいと考えています。
 これからもDXをキーワードに、従来の事業形態からの変革と、新たな事業への挑戦を続けて、持続的な交通サービスを提供し、移動しやすく、移動して楽しい街づくりに取り組んでいきます。  
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