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インタビュー
株式会社加藤組/代表取締役
加藤 修司(かとう しゅうじさん

先進技術を導入して働き方改革を進め、若い人材に魅力を発信します

SMART CONSTRUCTOR 進化するケンセツ」が会社のキャッチフレーズです。
 元々私はIT企業で働いていました。その知見を生かして「きつい」「危険」といった建設業のイメージを変えようと、2020年から「SMART CONSTRUCTOR 進化するケンセツ」を掲げています。国土交通省の調べによると、29歳以下の建設業従事者は就業者割合の約11%。慢性的な人手不足に加え、若者の働き手が特に少ない状況です。そうした現状を打破するため、作業の効率化を図る建設のDXを進めてきました。
―デジタル技術をどのように取り入れていますか
 施工箇所の3D設計データと衛星からの位置情報により重機を自動的に操作するMC(マシンコントロール)や、MCのシステムを用いて手動で操作するMG(マシンガイダンス)などの情報通信技術(ICT)を取り入れたICT建機を14年から導入しています。
 16年から1年半にわたって実施した「国道54号下布野歩道工事」では、土砂を掘削する油圧ショベルにブルドーザー用のMGを移植した3Dガイダンスミニショベルを使いました。作業の軌跡を示したガイダンスに従うことで、施工基準高の目印となる丁張を設置せずに高精度な施工を効率的に行うことができました。こうした取り組みが評価され18年度、国交省が革新的技術などを用いて建設現場の生産性向上を図った取り組みを表彰する「i-Construction大賞」で国土交通大臣賞を受賞しました。
重機に設置したタブレットにDデータをインプット
丁張を設けなくてもスムーズ施工が可能に
国交省が主導するプロジェクト「官民研究開発投資拡大プログラム」に参加していま
 2112建設用3Dプリンターを開発するPolyuse(東京都港区)や広島大(東広島市)、中国地方整備局(広島市中区)協力し、3Dプリンターを使って排水土木構造物を現場で製造する実証実験をました。当社は施工管理者として参加。完成したコンクリート製品の強度や品質を広島大大学院先進理工系科学研究科検査実用化に向けたデータ収集貴重な場となりました。
 建設用の3Dプリンターが普及すれば、型枠を組んで生コンクリートを流し込む現在方法から、型枠なしで造形できる自由度の高い施工ができるようになります。熟練した職人が減っていく中、新たな施工システムの構築は不可欠産学官の連携を深め、今後も取組を加速させます 
建設用3Dプリンターを活用し土木建造物を製造する実験の様子
DX推進企業として、建設業界をどう引っ張っていきますか?
 ICTは人材確保や働き方改革を進めるための手段です5世代(5G)移動通信などを活用すれば遠隔で重機を動かすことができ、リモートワークも実現します。先進技術と建設を組み合わせ若者の中でも特に女性が活躍できる環境をつくり上げています
 さらに、ノウハウを伝える活動にも力を入れます。22度にはレーザースキャナー使った計測の仕方ソフトウエアを用いた計測データの解析方法などを教える出張授業、三次青陵高(三次市)で行う予定です。当社や建設業界の先進技術のことを学生知ってもらい、少しでも業界の担い手育成につながればと思っています。
5Gを活用して遠隔地にあるコックピットから重機を操作する実証実験の様子
加藤組ホームページ:http://kato-gr.com/ 
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