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 2025年3月10日(月)に「DX×交流イベント」を広島コンベンションホールで開催し、ビジネス変革に取り組んでいる経営者層・管理者層・DX推進担当や支援機関の方々など、91名に参加いただきました。

 イベントは講演、トークセッション及び交流会の三部構成で行いました。

第一部 講演

 第一部の講演では、ビジネス変革に取り組む中核的人材をテーマにお話いただきました。
 
【講演1】 株式会社ひびき精機 専務取締役       松山 功 氏
「デジタル活用によるビジネス変革に取り組む中核的人材」
 
【講演2】 有限責任監査法人トーマツ マネジャー 宮地 慶一 氏
「中核的人材によるビジネス変革の重要性と事例解説」

講演1

 山口県下関市に本社を構える株式会社ひびき精機は、半導体、航空宇宙、医療など高い精度が求められる部品や各種精密機械部品の製造に加え、新産業を作るプロジェクトの研究開発支援も行う業界のフロントランナー企業です。同社は、多品種少量生産を行い、製造工程のデータ化や工程集約、コストダウンを図るためのデジタルツールを積極的に導入し、平均年齢が34歳と経験の浅い社員が多い中、浅い経験でもモノづくりができる環境を整備されています。このようなデジタルを活用したスマートファクトリーの仕組みづくりにより、海外工場でも生産活動を行う地産地消モデルの事業展開を進めており、製造のスピード向上や、コスト・リスクの低減に取り組まれています。
 講演では、「どのような行動で企業を成長・変革させたか」、「従業員・経営層をどのように巻き込んだか」、「組織風土や文化醸成をどのように推進しているか」、「収益向上・人材確保・定着率の向上等の体験談」についてお話いただきました。
 最後に、「中核的人材に必要なスキルやDX戦略の考え方」について、「経営者が描く未来を具体化し解像度を上げる能力」「プロジェクトを継続するしつこさとやめる判断力」「社員から話しかけられるスキルと巻き込み力」が重要とまとめられました。

講演2

 講演2では、ビジネス変革において中核的人材が果たす重要な役割について、具体的な事例を交えながら、「企業が取り組むべきDX」、「先進事例に学ぶDX実現に向けたポイント」、「変革をリードする中核的人材に求められるもの」についてお話いただきました。
 宮地氏は、「DXを進めるためにはデジタルリテラシーだけでなく、強いリーダーシップとケイパビリティ(能力)が必要であり、経営層から一般社員、外部の専門家までを巻き込んで組織変革をリードする力が求められる」と話されました。また、「一人のカリスマ的リーダーよりも、複数のリーダーが主体的に変革に取り組むことが効果的である」と指摘し、「中核的人材は、組織内のあらゆる階層で主体的な変革を促し、力を引き出すこと(多勢のリーダーシップ)も重要である」と述べられました。
 最後に、「完璧なDX事業計画を作ってから始めるのではなく、まず方向性を決めて関係者と共有し、小さな一歩を踏み出すことが重要。失敗しても迅速に軌道修正し、再チャレンジすることで成功体験を積み重ね、不確実性の高い社会に対応する取組を続けることが求められる」とまとめられました。

第二部 トークセッション

 第二部のトークセッションは第一部の登壇者及び令和6年度ビジネス変革に向けた中核的人材育成プログラム(以下「育成プログラム」という。) 参加者をパネリストに迎え、ディスカッションを行いました。

<パネリスト>
 株式会社ひびき精機 専務取締役 松山 功 氏

○育成プログラム参加者
 大信産業株式会社 人事総務部係長 佐々木 奈菜子 氏
 株式会社ユーホー 代表取締役社長   佐藤 真之 氏
 リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
     製造本部生産管理部担当課長 村上 義文 氏
 
<モデレーター> 
 有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー  清老 伸一郎 氏
 
 トークセッションでは、「デジタル技術を活用した変革を計画・実行する際の会社関係者の巻き込み方」と「DXを推進するために必要な人材の確保・育成」という2つのテーマで意見交換を行いました。
 
【テーマ1】「育成プログラムの振り返り
 
 約5か月間の育成プログラムに参加して良かったことや苦労したことについて、参加者に振り返っていただきました。
 村上氏からは、「育成プログラムを通じて、多角的な視点や新たな知見を得られた点が良かったが、通常業務との両立が大変だった。」とコメントいただきました。
 佐藤氏からは、「育成プログラムを通じて全社戦略とDX戦略をリンクさせ具体化でき、攻めの意識にシフトできたが、課題に時間がかかる点に苦労した」とお話いただきました。
 佐々木氏からは、 「現実的な課題を解決するため、DXについて考え始めたが、中長期目標に基づく戦略の重要性を学び、その策定の難しさを実感した。」と述べられました。
 
【テーマ2】「育成プログラム参加者からひびき精機へ質問
 
 佐々木氏からの「取組をやめる基準」についての質問に対して、松山氏は、「社員の負担増加が基準。数字や現場の意見を参考に判断」 。また、佐藤氏からの「社員とのコミュニケーションプラン」に関する質問に対して、松山氏は、「飲み会や合宿で社員と語り合う場を設けている」 。さらに、村上氏の「DX推進での抵抗勢力対応」についての質問に対して、松山氏は、「現場に受け入れられるツールを試用し、他社事例を参考に導入」などと、既にビジネス変革に取り組む中核的人材として、ご自身のリアルな経験談を交えながらお話いただきました。
 
【テーマ3】来場者からの質問

 「現場とのコミュニケーション」について、松山氏は、「職場内で挨拶しやすい動線の設計や懇親会の実施で対応している」と述べられました。
 また、「人がいない、効果が分からないという理由でDXに取り組まない経営者へのアドバイス」として、佐藤氏は「顧客視点での攻めのDXとストーリー性」を提案し、松山氏は「顧客信用を高める強い意欲」が重要だと述べられました。
 さらに、「DX事業計画書策定時の経営者とのコミュニケーション」について、村上氏は「現状と目標のギャップを数値と結論で示すことを重視」、佐々木氏は「経営層の想いを共有し、社員が気持ち良く動けるようになる点を意識して説明した」とお話いただきました。
 
 最後に、松山氏から「自分ができないことをできる人を探し出し、関わってもらうことが重要」と述べ、交流会の活用とDX推進に向けたエールを送りました。

第三部 交流会

 第三部の交流会では、ひびき精機の松山氏を囲んでの意見交換及び来場者同士の交流会を実施しました。
 

まとめ

 イベント実施後のアンケートでは「DX推進における人の巻き込み方が参考になった」「DXの定義について、今一度認識する良い機会であった」「参画した方々のリアルな声が聞けて参考になった」「普段接しない方が多かったので短時間でも意見交換できよかった」などのコメントがありました。参加された方々は、ビジネス変革に取り組む上で中核的人材に求められる役割・資質についての気づきや自立的・継続的なDX推進に向けたつながりを得られた様子でした。

アーカイブ動画

ビジネス変革に向けた中核的人材育成プログラム

 今回のイベントは、ビジネス変革に向けた中核的人材育成プログラムの一つとして開催しました。

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